過去の連載4話 洗礼 (後篇)

神戸港を発って3日目に僕らは天津の港に着いた。
そして着いたその日に天津から北京に行こうという予定を組んでいた。

しかし、行き方がよくわからない。

公共のバスというものはなく、
使い古しのマイクロバスのところでモグリの業者が盛んに客引きをしている。
中国語は理解できないし、値段もわからない、どうしていいのかわからない状況だった。


途方にくれていたそんな時、僕らの前にふいに現れて流暢な中国語で客引きと交渉をはじめた青年がいた。

同じフェリーに乗っていた日本人の青年だ。

彼は中国に留学していた経験もあって、このルートで中国に何度も来ているとのこと。
僕たちは小さな子供のように彼にすがった。

「北京まで50元、少し高いけど、いいですか?」

「いいです、いいです。」

と僕らは完全おまかせモードだ。

結局すべての交渉を仕切ってもらい、泊る宿までご一緒させてもらった。 



彼とは船内で何度か顔をあわせていたが、ほとんど話しをしていなかった。
初めて訪れる国に行くのだから不安もあるし、知らないことも多い。
いろんな情報を旅なれた日本人に聞きたいというのはごく自然な心情だろう。

だけど僕らはそうしなかった。


「僕は社会人を10年以上やってきたのだ、ふらふら旅している君たちとは違うのだ」

そんなよけいなプライドがあって、
とてもじゃないけど素直に人に教えを請うなんてことはできなかったからだ。



しかし、中国に降り立った途端、僕たちはまったくの無力だった。



これから世界一周するぞ!とイキまいているわりに、
結局はまわりの人に助けてもらわなければ何もできなかったのだ。


日本でも、自分の足で立っているつもりでいたが、
実はいろんな人が支えてくれて立っていることに気がついていなかった。


毎日誰かに助けられていることを知らずにそれを当然のように生きていただけなのだ。
そんな簡単なことに、日本を出てやっと気づいた。

北京の宿
北京の宿(6人ドミトリー)

朝食のパオズ
朝食のパオズ(手前)とワンタン。これが北京で最高の朝ごはん

万里の長城
万里の長城にて。2008年秋にまたこの長城に来ることなる。

天安門
バスで仲良くなった中国人カップルといっしょに

しいたけちんげんさい
北京観光初日の夜ごはん。薫茄子と書かれていたので、
字面から「おいしそう!」とたんだら、最も苦手なしいたけが出てきた。




 

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